「……は…?」
 いきなりのネルの登場に、アルベルも困惑した。しかも、こんなにも怒り狂っていると
は。
「漆黒団長……アルベル・ノックス!」
 地獄の底から響くような声をだして、ネルは拳を突き出して見せる。
「ここにいたね…?」
 肩で荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと一歩一歩こちらに歩み寄って来る。憤怒の
形相凄まじく、背後のオーラでさえも感じられる程だ。
「な、何だよ…」
 さすがのアルベルも、ここまで怒り狂ったネルを目の前に面食らう。ネルは絨毯を踏み
締めるかのように一歩一歩こちらに近づいてきた。
「?」
 わけがわからなくて、アルベルはネルを見下ろした。
「この馬鹿っっ!!」
 どがっ!
 強烈な一撃がくることは覚悟していたが。ネル渾身のパンチをまともにくらって、アル
ベルの身体は勢いよく壁に打ち付けられ、そのまま床に崩れ落ちた。
「お、おまえ……」
 すぐに起き上がってネルを見上げる。彼女は間にある椅子を乱暴にどかすと、すぐにこ
ちらにしゃがみこみ、アルベルの首輪の鎖をつかんで引き寄せた。
「どうしてくれるんだい!?」
「何がだ?」
「この…この馬鹿…どうして、どうしてくれるんだい!?」
 えらく感情が高ぶっているらしく、今度は大粒の涙をぼろぼろこぼして泣き出してしま
った。怒られたり、怒鳴られたり、殴られるのは慣れていたが、泣かれたのは初めてだっ
た。
 思わずオロオロとうろたえるアルベル。
「お、おい、一体何だって言うんだよ?」
 先ほど吹っ飛ばされた騎士も、通りがかりの騎士やら兵士やらも執務室の扉から数人、
のぞいていたりする。
 突然怒鳴って、突然殴って、突然泣き出して。どうしろと言うのか。アルベルが、ただ
ただ困惑していると、ネルはハッとしたように我にかえり、アルベルを突き飛ばすと今度
は口をおさえて窓に駆け寄った。
 突き飛ばされ、壁に打ち付けられた頭をさすりながら、何事かと見ていると、なにやら
窓から外に顔を出して吐いているようだった。
 今度は嘔吐とは。まったくもってわけがわからなさすぎた。アルベルは一つため息をつ
いた。
「なんかよくわからねえが、話があるみてえだな。おい、出て行け。おまえらも」
 突然の傍若無人な訪問者にもかかわらず、アルベルは案外落ち着いていたりして、呆然
としている騎士や、のぞき見していた兵士たちと追い払って、立て付けが悪くなってしま
った扉を閉める。もちろん。閉じた扉には兵士や騎士達がこぞって耳を押し付けた。
「……で?」
 どうにか落ち着いてきたらしく、口元をぬぐいながら、ネルは青い顔で恨みがましそう
な目をアルベルに向ける。
「まさか俺を殴って、嫌がらせに吐きに来ただけって事はねえんだろ?」
「……………」
 ネルは無言で、相変わらず気持ち悪そうで、どうやら体調が悪いらしいのだが。
 こういう所で鈍いアルベルは、眉を片方だけ跳ね上げた。
「気分がわりぃんなら、隣で寝てろ。医者でも呼ぶか?」
 しかし、ネルは首を振るばかりだ。アルベルは嘆息した。そして、執務机の上に乗って
いる水差しを引き寄せた。
「飲むか?」
 水をコップに注いで手渡すと、ネルは素直にそれを受け取ってゆっくり飲み干した。
「はぁ…」
 ようやっと生きた心地がしたような声を出して、ネルは力が抜けたようにへたりこんだ。
「で? 何だって言うんだ?」
 空のコップを受け取って、アルベルは少なからず不機嫌そうに尋ねる。ネルは相変わら
ず恨みがましそうな瞳で彼を見上げているが。
「あ?」
 口の中でネルがぶつぶつつぶやいているのだが、アルベルには聞き取れない。
「……だよ…」
「聞こえねえよ」
「だから! できたんだよ!」
「何が」
「………子どもが!」
「は?」
 寝耳に水とはこの事か。アルベルは滅多に見せない間抜けた顔を見せた。
「あれから、来るものはこないし、食欲は無くなってくるし、体調は悪くなる一方だし。
まさかとかもしやとか思っても、信じたくなかったけど! 心配かけた部下に医者に診せ
られて確認とったらできてるし! つわりはひどくなる一方だし! おかげで、仕事は長
期で強制的に休みをとらされるし!」
 たまりにたまっていた事をネルは、一気に吐き出した。
 アルベルは未だに惚けたままで、聞いているのかも疑問な様子だったが。ようやっと硬
直がとれた。
「へ……あ……何だってぇ!?」
「本当だよ!」
「だ、んな、いつだよ!」
「覚えてないのかい!?」
「どうやって!?」
「殴るよ!?」
「な…だっ、んな、そんな簡単にできちまうもんじゃねーだろうが!」
「できたもんはできたんだよ!」
 激しく言い合っていたが、アルベルが黙り込んだので、ネルも黙り込み、しばらく二人
とも無言だったのだが。
「ま……まじなのか?」
「うそついてどうするのさ、こんな事!」
 アルベルの冷や汗が流れ落ちる。
「あ……その……俺の?」
「あんた以外、誰がいるっていうのさ。日数だって合うんだ」
 上目使いの恨みがましい目付きで睨まれて、どう言えば良いのか皆目見当つかなくて、
ただただアルベルは呆然とする。
 しばらく、冷や汗が流れ落ちるままにしていたアルベルだったが、どうにかこうにか落
ち着いてきた。
 まったくこういう覚悟がないままに手を出したわけではない。だが、そこまで考えて手
を出したわけでもない。とはいえ、こうなってしまった以上、アルベルの方も逃げるつも
りはない。
 これもなにかの縁というヤツなのか。
 ふっとため息をつくと、なんだか随分とあっさり覚悟が決まってしまった。
「……で? 俺はどうすれば良いんだ?」
「……え?」
「えじゃねえよ。どうにかしろって事で来たんじゃねえのか?」
 そう言われても、ネルはきょとんとした顔をしたままだ。
「いや……。妊娠がわかってさ。とにもかくにも、あんたを殴らないともう気が済まなく
て。………後先の事はあまり考えていなかった」
 アルベルはもう一度ため息をついた。
「認知するのか? 責任をとれば良いのか?」
「あー………。どうしようか?」
「…………………」


「てめえも俺の事をどうこう言えねぇと思うんだがな」
「どういう意味だい?」
 アルベルの私室で、二人は夕食をとっていた。
 とにかく話をしようという事になり。時間も時間だという事で夕食となったわけだが。
アルベルの私室は初めて入ったのだが、部屋の広さのわりに物の少なさから、殺伐とした
印象を受ける。余計なものと言えば、酒とか、軍務やら武具関係のものがあるくらいで、
あとは必要最低限のものしかない。
 調度品の一つ一つは質の良いもののようだが、主のこだわりの無さからなのか、少し趣
味がずれていて、調和は感じられない。
 テーブルセットでさえ一対しかなく、ネルとの食事のために急遽椅子が運ばれる程で、
暖炉では火が明々と燃えて部屋を暖めていた。
「人の事をさんざん考え無しと言うわりには、てめえもそうだと思ってな」
「うるさい。突然こんな事にでもなってみな。頭が真っ白になるんだからね」
「まぁ…。それはわからねぇでもねえけど。けどよ、てめえの場合、自分の体の事だろ? 
俺の方がよほど突然だぞ?」
「こっちだって劇的に変化がくるわけじゃない。最初は風邪とか、体調が悪いだけだと思
ってた」
 医者の言葉に「女を見たら妊婦と思え」とかいう言葉があると、妊娠と確定した時に聞
かされた。ようは、本人も妊娠してると気づかずに不調を訴えるが、病気ではないので、
医者も病状がわからなくて頭を抱えるためにできた言葉だそうだ。
 つまり、それくらい本人に自覚症状がでるものでもない。
「…けど、どうしよう…。仕事も中途なままなのに…」
「どうするんだ?」
「どうしようもないよ。こんな身体じゃ仕事にならないから。急遽、アストールが指揮を
とって、タイネーブとファリンが補佐している。私は強制的に自宅療養さ。ほっとくと仕
事するからって」
 ため息を吐き出しながら、ネルはナイフとフォークをゆっくり動かす。アーリグリフに
来たのは初めてではないが、カルサア修練所でのんきに食事をしたのは初めてだ。食事の
内容はアルベルと一緒のものである。仮にもここのトップなのだから、良い物を食べてる
かと思ったが、内容はかなり質素であった。
「強制に自宅療養なのに、ここに乗り込んできたのか」
「だって、ジッとしていられるものか。あんたを思いきりぶん殴るまでには気が収まらな
かったし」
「…………………」
 そういうわけで、アルベルは思いきり殴られたわけだ。受けた傷は自分で治癒したが。
「はぁ…」
 ネルは青い顔で、ナイフとフォークをテーブルの上に置く。
「不味かったか?」
「……いや…。気持ち悪くてもう食べられない…」
 味の問題ではない。ネルは力無く首を振る。
「…そうか…」
 さすがのアルベルも、少し表情を曇らせてネルを見る。
「……横になるか?」
「…そうさせてもらう…」
 水を飲みながら、ネルは小さく頷く。
「…って、もしかして、あんたのベッドで?」
 アルベルが微妙に指し示していたのは、彼のベッドだ。確かに、クイーンサイズほどあ
る大きなベッドだから、二人で寝ようがどうって事はないのだろうが。
「そこしかねえだろうが。客が寝泊まりするような気の効いた部屋はねえし、あとは使用
人やら兵士どもの寝所ばかりだ。そんなところで寝るつもりか?」
「はあ…」
 ネルは何度ついたかわからないため息を吐き出した。
「一応、洗面所とか、風呂もある。使いたければ使え。風呂に入りたければ呼び鈴でも鳴
らせば誰かくる」
 なるほど。アルベルの私室なら、生活に必要なものはすべて個人で所有しているので、
気兼ねなく使えるという利点があるのだ。
 普段のネルなら、アルベルのベッドに横になるなど考えられない事であったが、とにか
く気持ちが悪かったので。
 青い顔のまま、ネルはアルベルの大きなベッドに横たわる。巡りの悪い頭で、ネルはほ
とんど何も言わないまま、自宅を飛び出してきた事を憂えていた。
 きっと、母親は身重の自分を心配しているに違いない。クレアだってそうだ。部下達も
ネルの突然の妊娠の知らせに戸惑いを隠せないでいた。
 ネルは、自分の妊娠が発覚した時の事をぼんやりと思い出していた。
 最近、体調が思わしくなくて、原因もよくわからないままで、これでは仕事に差し支え
ると、ネルも困っていたのだ。思い当たる事もないではなかったが、それだけ信じたくな
かった。というか、そうであってほしくないと願っていたのだが。
 彼女の身を案じたタイネーブとファリンは、ともかく診てもらおうという事で、医者と
共にネルの私室に待ち伏せて検診を受けてもらっていた。ネルはすぐに無理するので、こ
うでもしないと医者の検診も受けてくれないからだ。
「えー…と…。うーん……」
 医者は原因のわからない体調不良に困惑して、困った声をあげる。ハッキリしない医者
に、一緒に付き添っているタイネーブとファリンは顔に出す出さないの違いはあれど、苛
立ちはじめる。
「うーん…。風邪にしては、のどの腫れもないようですし…」
 彼女はこの前、師匠から独り立ちの免状をもらい、このごろどうにか医者が板について
きた新人で、前のベテラン医者から比べると、どうにも頼りなさすぎた。
「本当にぃ、わからないんですかぁ?」
「んもう、前の先生なら、こんな事無かったんじゃないの?」
 医者の頼りなさに、ついついタイネーブが余計な事を言う。ファリンも同じような事を
思ったが、腹の中にしまい込んでいた。
「タイネーブ」
 ネルがたしなめたが、言ってしまった言葉は戻らない。さすがの医者も落ち込んだ顔を
見せる。
「医学だって、施術だって万能じゃないんだ。わからない事はあるよ」
 とりなすように、ネルがそう言った時、医者は顔をあげた。ネルの事をよく知らなかっ
た事とはいえ、後から思えば、医者自身も配慮が無かったなと後悔するのだが、この時は
タイネーブの言葉に少々苛立っていたのだ。
「…あの、ネル様。生理は毎月ちゃんと来てらっしゃいますか?」
 一瞬、ネルの顔がこわばった。不順どころか、ここの所まったく来ていない。こういう
事は今まで無かったので、余計に怖かった。
「…そ、その、最近…不順気味ではあるんだけど…」
「それでは、前に来たのはいつ頃ですか?」
「………………そ、その…、さ、三カ月くらい…前…かな…」
 こういう所でウソをつき慣れないネルは、思わず本当の事を言う。
 医者の質問、ネルのこの様子。ファリンは医者が何を言いたいのかピンときたが、タイ
ネーブの方はまだわからないようで、眉間にわずかに眉を寄せていた。
「ネル様、まだ確定したわけじゃありませんけど、恋人と相談はしてますか?」
「はぁ? ネル様の恋人ぉ!?」
 突拍子もない医者の言葉に、タイネーブは眉間のシワを深くした。ネルの恋人なぞ、つ
いぞ聞いた事が無かったからだ。
「いらっしゃるんでしょう?」
「いたんですか!?」
 タイネーブは素直で献身的で、ひたすらネルを慕ってくれていて、ネル自身も可愛がっ
ている部下ではあったが、察しの悪さに苛ついた事は一度ではない。
 すでに察しているファリンが黙るようにタイネーブをこつくが、羨ましいというか、恨
めしいというか、彼女はまったく気づいていない。
「なによ、ファリン。言いたい事があるんなら、ハッキリ言いなよ!」
 ハッキリ言ってはまずい事なのに、やっぱりタイネーブは気が付かない。
「ネル様に恋人がいたなんて、初耳じゃない! あんた驚かないの!?」
「……え?」
 今度は医者の方が困惑顔をした。気まずい沈黙が訪れて、さすがのタイネーブも何かあ
るとようやくわかりはじめたようだが、それが何であるのかまだわからなくて、きょとき
ょとと全員の顔を見る。
「え? え? なに? 何よ? どうしたの? ネル様に恋人がいるわけが…あ? 
え?」
 言いかけて、タイネーブは巡りの鈍い頭で考えた。ネルの体調が悪い。よく嘔吐する。
生理がここのところ来ない。ネルの恋人が話題になっている。
 そして、ようやく一つの結論が導き出されてきた。
「って、まさか、ネル様、にっ、妊娠してるんですかっ!?」
「声が大き…」
 ファリンもさすがにタイネーブをおさえようとしたが、テンポが遅すぎた。
 こうして、ネルの妊娠の噂は素早くシランド城内に広がり、ネルは妊娠検査を否応無く
受ける事になり、そして、結果は陽性と出たのである。
 クリムゾンブレイドであり、封魔師団「闇」の部隊長ネル・ゼルファーの妊娠に、シラ
ンド城は大騒ぎとなった。ネルはまだ未婚であったし、恋人がいるという話も全員聞いた
事が無かったのも騒ぎが大きくなった一因だろう。
 ネルは女王直々に呼び出され、強制休職を言い渡されたのであった。
 未婚で、恋人もいないはずのネルに配慮して、女王は妊娠の相手を聞こうとはしなかっ
たのだが、ラッセル執政官はあの調子で尋ねてきて、彼女の神経を余計に逆なでさせた。
 結局、妊娠の相手は女王や親友のクレアにさえも言わないまま、ネルは城を出て自宅療
養となったのだが、気持ちは静まらない。仕事を強制的に降ろされてしまった事、心ない
人々の噂話、親友や部下、母親の戸惑った顔、ラッセル執政官のあの詰問口調。これほど
までに苛立った事はなく、事の原因すべてがあの男だと思うともういてもたってもいられ
なくなってしまい、ネルは身支度もいい加減なまま、自宅を飛び出したのであった。
 子どもを堕ろす事も考えないではなかったが。そんな事を真面に考える前にここに来て
しまった。
 思い出すと、あの時の怒りと苛立ちが沸き上がってきて、この体調の悪さとあいまって、
余計に気分が悪くなるという悪循環だ。
 ああ…気持ち悪い…。
 苦しさにてんてんとしながら、額に手を乗せる。
「大丈夫か…?」
 アルベルが不安げな顔でのぞき込んでくる。その優しい声に、ネルはうっすらと目を開
ける。事の張本人である男は、ネルの知っている顔とはだいぶ違う顔で、こちらを見下ろ
していた。
「あんた……優しくて気持ち悪いよ…」
「やかましい」
 思わず出た言葉に、アルベルの顔が不機嫌そうになる。しかし、すぐに彼の方もため息
をついた。
「熱とか無いんだよな?」
 アルベルの冷たい手がネルの額に乗って、それが少し気持ち良くて、ネルは瞳を閉じた。
ベッドのへりに腰掛けたらしく、ぎしっと音をきしませて、腰掛けたあたりが沈む。
 この状態のまま、二人とも沈黙していたのであったが。不意に、アルベルの方が口を開
いた。
「…産むのか…?」
「…考えてない…」
「…堕ろすのか?」
「…わからないよ…。どうしても堕ろしたいなら、母子ともに危険な毒を飲むかとかだっ
てさ」
 エリクールは施術が発達しているせいか、医術の発展はそれほどではない。怪我などは
施術で治してしまう分、こういう所の進み具合はそう芳しくない。とはいえ、妊娠は病気
ではないのだ。望まぬ子供ができるのはいつの世も同じだが、堕胎が健康的とは言えない
だろう。
「産め」
「…あんたね…」
 思わずこめかみがひくついた。
「産んで……どうするのさ………」
 ネルの言葉に、しばらく考えていたアルベルが口を開いた。
「俺一人でも育てる」
 その言葉にびっくりして、ネルは目を開けて、アルベルの方を見た。
「俺の親父もそうだったんだ。親父にできて、俺にできねえことはねえ」
 腕を組んでぶっきらぼうにも言い放つ。少し照れているのか、ネルからは顔を背けてい
た。少し頭を上げてアルベルの顔を見ていたネルは、やがて力無く頭を枕に落とす。
「あのね。私にだって育てる権利があるじゃないか。あんただけの子どもじゃないんだよ
?」
「じゃあ、どうするんだ」
「どうするって……」
 思わず顔を動かしてアルベルを見る。アルベルの方もネルを真っすぐ見ていた。お互い
何を言いたいかわかってはいたが、口に出す気にはなれなかった。
 二人とも少し照れながらお互いに顔を背ける。
「…メシを片付けてくる…。休んでいろ…」
 アルベルは立ち上がると、テーブルの上の食事を片付けているようだった。その音を聞
きながら、ネルはぼんやりとこれからの事を考えていた。
 ともかく、考える時間だけはあるから、どうにかしなくてはと。


                                                          to be continued...