部屋に戻ろうと、俺がドアノブに触ろうとした時だった。得も言わぬ殺気が部屋の中か らした。 「……………」 「…どうしたんだよ、デュラン。開けないのか?」 「………おまえ、わかるか? この殺気が…」 「……………」 しかし、ここで見合っていてもしょうがない。俺は思い切ってドアノブを回してドアを あけた。開けた途端…。 ドガッ! 俺の荷物が顔面に飛んできた。 「あ〜ん〜た〜た〜ち〜!」 あああっ! アンジェラがっ! アンジェラが怒ってるッッ! 「あんっなにのぞくなって言ったのに! のぞいてたのあんたたちでしょ!」 「ぶわっ、だから、ちがっ!」 バラバラ物がとんでくる。このうえ魔法でも使われたらたまんねーぞ、ホントに! 「イテテテッ! 俺ら本当に本当にのぞいてねーってば!」 「じゃあ、どこに行ってたのよ!?」 「だ、だからそれはーっ! 落ち着け落ち着けアンジェラ!」 「キーッ!」 「うへーっ! ほ、ほら、騒いだらメーワクじゃねーかっ! なっ!?」 「うるさーいっ!」 「アンジェラってば! のぞいてたのは俺らじゃなくて、ここの女将さんたちだよぉ!」 たまらなくなって、俺が叫ぶ。 「なによウソ言って!」 ああっ! 全然信じてない! 「本当だってば! のぞこうとして、俺らが行ったら…」 「あわわっ、デュラン、バカ!」 「なによ! のぞこうとしてたんじゃないのよーっ!」 「うわーっ!」 部屋中の小物という小物を投げてくるもんだから、たまったものではない。 アンジェラが落ち着いてくれるのに、かなりの時間を要した。 あんな大騒ぎのなか、健やかに眠っているシャルロットはある意味で大物なんだろーか …。 「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」 顔を赤くさせたまま、アンジェラは俺らをにらみつけている。あちらに体力がないのが 救いだった。疲れたらしく、肩で息をして、攻撃をしてこようとはしていない。 「もうっ! 金輪際近寄らないでよね!」 そう怒鳴ると、バサッとベッドの中にもぐりこんだ。 「……………」 俺らはため息ついて顔を見合わせた。 「……でも、どうして…」 女将さんの事だろう。しかし、そんなこと俺が知るワケない。俺は力無く首をふると、 ホークアイと一緒に、アンジェラが散らかしたものを片付けはじめた。 ああ、もう、こんなに散らかしやがって…。 「うおおおおおおっっ!?」 夜中、ホークアイの悲鳴で目が覚めた。 「…なっ…、どうしたっ!?」 「イテ、てめーなにしやがんだっ!?」 真っ暗でよくわからないが、ホークアイが隣でなにやらもう一人のだれかと奮戦してる らしいのは、なんとなくわかった。 「アンジェラ王女! お命ちょうだい!」 「なにすんだてめーっ!」 へ? アンジェラ? 俺は慌ててランプのスイッチをいれた。魔法のランプで、すぐに明かりが灯るヤツなん だが、それに照らし出されたのは、黒い装束に身をつつんだ、どっからどう見ても怪しい ヤツ。これが暗殺者というヤツなんだろうか!? 「だれだ、おめーは!?」 すぐに、側においてある剣をとる。 「なにっ!? この感触…。アンジェラ王女が男になっただと!?」 ……その前に、男と女の悲鳴の区別もつかないのか…? 「バカヤローッ! 俺はハナから男だ!」 「貴様…。さては替え玉だなっ!」 「どこをどう考えたらそんな結果になるんだっ!? 俺は男と取っ組み合う趣味はねえ! とっとと離れろ!」 ホークアイは暗殺者をけり飛ばす。彼はクルッと身軽にうけて、そして、端っこのベッ ドで青くなってるアンジェラを見つけた。 「……さては、そちらが本物だな! アンジェラ王女、今度こそ!」 「イヤアアッ!」 枕を投げるが、それもヒョイと避けられ、男はナイフをふりかぶった。 「アンジェラ!」 俺とホークアイの声がハモった。 「イヤッ!」 よろけるように、ベッドからはい出し、男のナイフから逃げ出す。 「や、やだ、来ないでよ! 来ないでよぉぉ!」 恐怖に顔をゆがめ、アンジェラはばたばたと壁をはうように、ドアから逃げ出す。 「待て!」 「ああっ、ちょっと!」 俺は剣を鞘ごと引っつかむと、その暗殺者を追いかけた。ドアから出る間際にこう言い 残して。 「ホークアイ! シャルロットと荷物! もしもの時は頼んだぜ!」 ドタッ、バタバタバタッ! 薄暗い通路をアンジェラが走り抜け、それを追いかける暗殺者。そして、それを追いか ける俺。しかし、あちらの暗殺者の方が暗闇に慣れているらしく、足も速い。クッソーッ! ガタンッ! 向こうの方で何かがぶつかる音。 「その首! もらうぞ!」 「イヤ…、イヤ、イヤアアアアアッッッ!」 「アンジェラ!」 アンジェラの大絶叫が響き渡り、いきなりボフッと俺の目の前の床から火がついたのだ。 「うお!?」 それを契機に、ドンドンッと次々と火柱がのぼりはじめた。どっ、どうしたんだ、こり ゃ!? 「うわああっ、あちあちちっちちっ!」 かの暗殺者の服に、火がついて、暗殺者はそれを消そうとばさばさたたいている。 「どけっ!」 暗殺者を剣の柄で思い切り殴りつけ、俺はアンジェラのトコまで駆け寄る。 「おい、アンジェラ! アンジェラ!?」 しゃがみこんで、ガクガク震えているアンジェラをゆする。彼女の顔のぞきこんでみる が、膝に隠れてしまって見る事はできない。 背中が熱い…。さっきあがった火柱が、どんどんとここに火の手をあがらせているのだ。 このままじゃヤバイ! 「アンジェラ!」 もう一度呼びかけると、ハッとなって、顔をあげた。泣いていたのか、涙の玉が彼女の 目にたまっている。 「デュラン…。私…私…」 「おい、早くこっから逃げようぜ! このままじゃヤバい!」 彼女を立ち上がらせようと、手を引っ張るが、彼女は立ち上がらない。いや、ガックガ クにふるえて、立ち上がれないでいるのだ。でえ、くそったれい! 「逃げるぞ!」 「わ、キャッ!」 アンジェラを抱き上げ、そこで気絶している暗殺者を飛び越え、出口へと急ぐ。ホーク アイがシャルロットや荷物を運び出してくれればいいが…。 外に出ると、ホークアイがホッとした顔で出迎えた。 「二人とも、無事だったか! ビックリしたぜ。いきなり火がつきはじめるんだもんなぁ …」 彼は、俺らの荷物全部を手や肩にかけ、かなり重そうだ。俺はアンジェラをそっと下に 降ろすと、シャルロットがいない事に気づいた。 「…あれ、おまえシャルロットは?」 「え? そこに、どわーっ!? シャルロットがいない!」 「なんだって!?」 今頃気づくんじゃない! 「起こして、ついて来いって言ったのに!」 「バカ! ちゃんと確かめろよ! くそ、俺、ちょっと行ってくるわ!」 「で、でも今行ったら…」 宿屋は大部分火につつまれはじめている。大変だぁ! 「だからって、このままでいいわけないだろ!?」 「そ、そうだよな。俺が行ってくる!」 「あ、おい! 俺も…」 行こうとしたんだが、アンジェラにグッと腕をつかまれ、行く事ができなかった。 「ア、アンジェラ?」 「…………………」 彼女は今にも泣きそうな顔で、俺の腕を握り締めている。一体どうしたと言うんだ。 「ほら! 急ぐぞ!」 「うひへーっ」 ホークアイは、シャルロットの手をひいて、こちらに逃げてきた。どうやらこれで全員 無事なようだ。 「はへーっ、はへーっ…」 シャルロットは尻餅ついて、ふうふう言っている。 「しっかし、なんだっていきなり火が…」 ホークアイの言葉に反応し、さらに力をこめて、俺の腕を握るアンジェラ。ガタガタに 震えて、当分立ち直れそうにない。 「おい…。アンジェラ。平気か?」 「……アンジェラしゃん、顔色悪いでち。なんかヘンな物でも食べまちたか?」 「どうかしたのか?」 みんな心配そうにアンジェラをのぞきこんだが、アンジェラは震えっぱなしで、なにも 答えようとはしない。ただ、俺の腕を握り締めて真っ青な顔でふるえているだけだった。 そのときだった。火だらけの宿屋から、転がるように飛び出す人が二人。ありゃ女将さ んたちだ! 「ひえーっ!」 「うわぁーっ!」 悲鳴をあげて、こちらに逃げてくる。そして、俺たちを見つけると、すごい勢いで駆け 寄ってきた。 「あ、あ、あんたたちかい!? 宿屋に火をつけたのは!?」 目を大きく見開いて、切迫した顔で、怒鳴る女将さん。汗で髪の毛が顔にへばりついて いて、髪形も乱れている。それが余計に女将さんを怖い顔にしている。 「ま、まさか!」 「じゃあなんで宿屋に火が!? いきなりあんな火事になってたまるものか!」 「だからって、俺らじゃないよっ!」 「いいや、ウソだろ!」 よっぽど頭が混乱しているらしく、鬼気迫る形相でそう怒鳴りつける。髪の毛を振り乱 し、目は血走り、目の下にはクマ。ちょっと後ずさりたくなる雰囲気だ。 「王女が、王女がいるから…、だからだろ!」 「はあ?」 なんでそんな事が関係あるんだよ。 「ああああ! おまえたちにはわかってたんだね! あたしらが王女の首をねらってる事 に! だからって…、だからって、火をつけるこたないだろっ!」 イテッ! チクッとした痛みに、腕をみると、アンジェラ真っ青な顔して、俺の腕に爪 をたてている。 「王女ぉ? だれだよ、ソレ」 事情を知らないホークアイとシャルロットはそろって顔をしかめた。 「一万ルクだよ! それくらいあれば、引っ越しもできるのに! 暗殺者まで雇ったの に!」 「…暗殺者…って、女将さん、あんたがあの暗殺者を!?」 「おい、おまえ!」 主人が女将さんの肩をつかむが、その手をふりほどいて、ビシッとアンジェラを指さし た。 「あんたが、あんたがいるから…!」 「ち、違う! 違う! 私は、私は…」 「あんたの首さえ手にはいればああっ!」 「キャアッ!」 バッといきなり飛びかかってきて、アンジェラの首をしめはじめた。 なっ!? 「おい!」 慌てて女将さんをアンジェラから引きはがす。 「首…王女の首…一万ルク!」 「やめて! やめてえええっ!」 「い、いちまん…ルクゥゥゥゥッッ!!」 この女将さん、完璧キレたな! 俺はホークアイと顔を見合わせ、うなずく。 「はっ!」 女将さんの首に軽く手刀を一発。あっけなく女将さんはドサッと倒れた。 「ひいいい! たすっ、たすけてくれっ!」 自分の女房が倒されたら、人で無しに、ここの主人は腰をぬかしながらはいつくばって 逃げてしまった。 「……アンジェラって、あの、どっかのお姫さんだったワケ?」 信じられないように、ホークアイの顔が引きつっている。 「…って話だけど。おい、アンジェラ。アンジェラ?」 アンジェラの肩をかるく揺する。しかし、返事がない。 「おい、アンジェラ?」 カクッと横に倒れた。どうやら、気絶してしまったらしい。 「…どうする?」 「いや、どうするって言われても…」 このままにするわけにゃいかねぇよなぁ…。 結局、俺がおぶって行く事になった。 「大地の裂け目は遠いんでちか?」 あくびをしながら、シャルロットが聞いてくる。 「いや、こっからならそんなに遠くはないだろう。まあ、ざっと歩いて半日ってトコかな?」 「遠いじゃないでちかー…」 不平をプープーほざくシャルロット。 「おい、シャルロット! ちったあ手伝え! 俺ばっかに戦わせるな!」 俺がアンジェラをおぶっているもんだから、先頭きって戦う事はできない。だから、今 の主戦力はホークアイとシャルロットなのである。 夜は、ゾンビやらでてきてけっこう危ないし、昨日の今日なので黄金街道で野宿するの は避けたい。だから、とにかく、安全なトコまで行こうってコトになったのだ。 ホークアイって両ききなのか、両手にダガーをもって戦うのだ。その身軽さと俊敏さ、 瞬発力には目を見張るものがある。 もっとも、体力はあまりないらしく、けっこうすぐにバテるのが欠点か…。 シャルロットはシャルロットでやたらめったらフレイルを振り回すだけ。それでも、遠 心力どうのの関係なのか、与えるダメージはけっこうイタいらしい。 ま、彼女の場合、フレイルでの攻撃力より、戦闘中や戦闘後の回復魔法だよな。あれ、 すげー有り難い。 やっと、ゾンビたちの襲来も落ち着いて、シャルロットはホークアイに回復魔法をかけ ている。どうでもいいけど、早く起きてくんねえかな、アンジェラ。 「アンジェラしゃん、まだ目覚めないんでちか?」 「おおい、アンジェラ! アンジェラ!」 何度かゆすってみるがダメ。起きる気配なし。ったく、疲れるっていうのに…。せっか くの背中の感触も、俺、鎧着てるからわかんねーしよー…。 アンジェラが気が付いたのは、大地の裂け目の入り口が遠くに見えてきたくらいからだ った。 「デュラン、おろして…。もう一人で歩ける…」 いきなり、背中から声がしたんで、俺もビックリした。 「あ? あ、ああ…」 アンジェラを背中から降ろす。 いまだ立ち直れないでいるようで、下を見たまま、トボトボ歩いている。しっかし、俺 に礼のひとつくらい言ってもいいだろうに。ずっとおぶってやってたってのによ…。 俺はアンジェラをちょっとにらんで、凝った肩を動かした。重いとは言わねーが、決し て軽いワケじゃねーんだぞ。少しくらいならともかく、半日以上はけっこうツラかったぞ ー。 「大地の裂け目をわたったらフォルセナなんでちよね?」 シャルロットが俺のズボンのすそを引っ張りながら尋ねてきた。 「あ? ああ。そーさ」 「デュランしゃん、フォルセナ出身って聞きまちた。フォルセナってどんなトコでちか?」 「んっとなー、温暖な気候で…」 「悠長に話してるヒマはないみたいだぜー」 ホークアイがチャキッとダガーをかまえる。やれやれ、敵のお出ましかい。 一つ、息をついて腰の剣を抜く。もういっちょやるかい! モンスターの集団を倒してから、やっとこさ大地の裂け目に。洞窟を通ると、そこは深 い深い谷が広がる。 「うっひょーっ!」 うっひょーっうっひょーっ…とシャルロットの声がこだましている。 「深い谷でちねー。落ちたら命ないでちね、こりゃ…」 「あそこにでけー吊り橋があるだろ。そこ通ってモールベアの高原通ってフォルセナさ」 でも、フォルセナに行ったらおばさんとか、ウェンディの事がどーにも気にかかっちま うよなー。 「デュランしゃん、フォルセナに行ったらあんたしゃんのおウチがあるでちか?」 「ん? あ、ああ…。あるけど…」 「だったら、デュランしゃんの家に行っていいでちか? 庶民の家って行ってみたかった んでち」 なんか、小ばかにされてねーか? 俺…。 「あー、悪い、それは…」 「…おい、あそこ、だれかいるぞ?」 「ん?」 ホークアイの声に、前を向くとなるほど。トンガリ帽子をかぶったネーチャンが橋の真 ん中でなにやら調べているみたいだが…。 「ふーん、なにやってんだろーなー」 俺らはかまわず橋をわたりはじめた。ふと、横を見ると、アンジェラは何を考えている のか、ずっと下を見ているようだった。 「あっ!」 前からの声に振り向くと、トンガリ帽子ネーチャンがアンジェラを指さして大きく叫ん だ。 「アンジェラ王女だ!」 「なっ…あ…」 「知り合いかー?」 ホークアイがのんびり話しかける。だが、知り合いとか、そういうなごやかな雰囲気じ ゃない。 いきなり、ネーチャンはピリリリリッーッと鋭く笛を吹き鳴らした。 「どうしましたっ!?」 いきなりダダダダッッとネーチャンと同じトンガリ帽子をかぶったネーチャンたちがぞ ろぞろ俺らを取り囲んだ。ど、どこにこんなにいたんだ? 「アンジェラ王女。理の女王様より反逆罪で抹殺命令がでております…。直接なうらみは ございませんが、死んでもらいます!」 「な、なによ、私がなにをしたって言うのよ!?」 後ずさるが、後ろにはトンガリ帽子ネーチャン軍団がいる。 「おい待てよ。一体どういう事なんだ?」 「アンジェラしゃん、反逆罪って、あんた悪人だったでちか。いけまちぇんね!」 「おまえら、仲間か!?」 厳しく怒鳴りつけるネーチャンに、ホークアイが軽く笑いながら、 「まあまあ、ネーチャンたち。そう興奮しなさんな…」 と、なだめようとしたが「だまれ!」と一喝されてしまった。 「イヤでちねー。ブスはすぐ怒ってー」 「やかましい! おい、あれを使うぞ橋に結界をはれ!」 どうやらシャルロットの一言がいけなかった…わけでもないだろうが、ネーチャンたち は統率のとれた動きで、呪文をとなえたり、奥の方からなにやら取り出してきたり。 「やれぇい、マシンゴーレムR!」 と、奴らがだしてきたのは、俺らの等身大はあろうかという機械人形。 「バンガオーッ!」 ミョーな機械音を発して、いきなりロケットなんか打ち込んできやがったのだ! 「どへーっ!」 「うきゃーっ!」 「おわったたた!」 「キャーッ!」 ロケットは向こうがわで、何もないはずなのに、いきなり空中で破裂! 「結界ね!」 アンジェラが叫ぶ。 「…と、いうことは、こっから出られないのか!?」 「えーっ!?」 「マシンゴーレムを倒せばなんとかなるはずよ! 行くわよ!」 ギュッと杖をつかみ、アンジェラが叫ぶ。そーゆー事なら…。俺も剣を抜いた。 「かってーぞ、コレ!」 「どわーっ! ミサイルがやってくるっ!」 「もういやでちーっ!」 みんな大騒ぎしながらも、なんとかマシンゴーレムを動かなくさせる事に成功。ガンッ と蹴っても動かなくなった。 「へーっ、へーっ…。ネ、ネーチャンたち…。こりゃ一体なんだよ?」 肩で荒く息をしながら、ネーチャンたちに問いかけると、悔しそうに後ずさりしていた が、 「ゴーレムがやられるとは…。…ぜ、全員退却! 橋を爆破する!」 「へえ!?」 「あの世に行くんだね!」 そう、マシンゴーレムが寝かせてあった台座のスイッチをカチッと押すと、スタコラ逃 げ出したのだ。 「え!? あ、おい…」 「ちょっと、ちょっと! これ、なんかコチコチ言ってるでちよーっ!」 「爆破って、コレが爆発すんのか!?」 「早く! そのマシンゴーレムには自爆装置がついてんのよ! 急いで橋の外に逃げ て!」 なんだってぇ!? そりゃ大変とばかりに、みんなで慌てて駆け出す。俺が一番遠かったもんだから、背後 で爆発した時、一番被害が大きかった。 to be continued... |