一行は小さな村に入った。目的地までの通り道として立ち寄った村だ。
 村に一軒しかない、宿屋と酒場を兼ねた所に入り、とりあえず彼らは料理でも食べよう
かと、席についた。
「……失礼、旅の方と見受けるが…」
 酒場の主が注文をとりにくるより早く、随分顔色の悪い老人が彼らに話しかけてきた。
「まあ、今日、この村に来たばっかりだからな…」
 ホークアイが少し肩をすくめて見せた。
「……この時世に旅をしておられるのであれば、腕に自信がおありでは?」
「…………まあね」
 ホークアイはパーティの面々を素早く見回して、返事をする。なんとなくこの老人が言
いたい事がわかってきた。
「…この村は小さな村です。決して裕福ではないのですが…」
 くるぞくるぞ。そんな顔して、ホークアイはみんな見た。老人の言いたい事に気づいて
いないのなんて、ケヴィンくらいだろう。
「…あなたがた、腕に自信がある様子。たいしてお礼はできないのですが、最近、村の近
くに巣くったモンスターを退治してはくれませんでしょうか?」
 ほぅら、やっぱりね。


 立派に武装したデュランやリース、筋骨たくましいケヴィンを見れば、腕に覚えありと
見られるのは当然と言えば当然の事だろう。
 そういう事で、モンスターや野盗退治を頼まれるのは、なにもこれが初めてではなかっ
た。
 急ぎの旅とはいえ、そういう者達を見捨てられる彼らではない。さんざんお礼を言われ
て照れた思いをした事もあれば、まったく助け甲斐のない人々に嫌な思いもした事もある。
しかし、ここの人々がどちらに属するにせよ、結局放っておけない事には変わりない。
 返事は決まっていた。
「…モンスターってのはどんなのだ?」
 ホークアイは面倒だなぁと思いつつも、仕方がないとわかっていた。
「受けて下さるのですか?」
「受けるんだろ?」
 聞くまでもなく。やはり返事は決まっていた。デュランはゆっくり頷く。
「ただ、その前に飯を食わせてくれねーかな? 野宿続きでロクなの食ってねーんだ」
「おお、これは失礼しました。では、そのお代は私がお持ちします。おっと、申し遅れま
した。私、この村の村長をしておりますコウダイと申すものです」
 そうして、彼らはやっと暖かい夕飯にありつく事ができた。

「デーモン?」
 とんでもないモンスターの名前を聞かされて、思わず食事の手をとめる。
「はい…。北に山があるのはご存じでしょうか? 特にどうという山ではなかったのです
が、つい最近、デーモンが住まうようになってしまい、山で働いている炭焼きや狩人が数
人、やられました。最初、理由がわからなくて、帰ってこない者を探すため、村の男たち
で山を捜索したところ…そいつが……」
 心労が老体にこたえるのだろう。随分老け込んでいるようだ。
「………ほ、本当に、デーモンだったのか…? ただのデカい熊とか…」
 パーティがまだ四人だった頃、彼らは、デーモンに出くわした事があった。結果は惨敗。
まるで歯がたたなくて、ほうほうの態で逃げたのである。
「私も信じたくないのですが…。ただ、そいつを見た者はデーモンだと言うのです。しか
し、そいつがどんなモノであれ、私たちではどうしようもない相手である事は確かなので
す」
 深くため息をつきながら、村長はコップの水を少し飲む。
「今はまだ、あの山にいるようなのですが、北の山のふもとであるこの村に、いつやって
くるかと思うと…。…以前は、冒険者の方々も時々この村にやって来ていたのですが、今
ではとんと…。モンスター退治を頼もうにも頼みようもなく…」
 マナが減少しはじめてからというもの、モンスターが暴れまわり、それに乗じて、野盗
も跋扈するこの時世。ちょっとやそっとの腕前では旅もままならない。
「…けどよ、じーさん。本当に相手がデーモンだったら、とんでもない事になるぜ…」
 あの時よりかは随分強くなったという自負はある。仲間も増えた。けれど、楽勝できる
相手ではない。なにより、どこまで被害が出るか見当もつかない。彼らなら耐えられる攻
撃も、ここの村人ではひとたまりもないだろう。
「……わかっております…。隣町に避難する者もでてきております。けれど、いつまでも
隣町に避難しつづけられるものではない。なにより、この村から離れて暮らすのは色々と
厳しい…」
 六人は顔を見合わせる。
「…もちろん、俺たちもできる限りの事はする。けど、デーモンだったら被害がどこまで
広がるかなんとも言えない。もしかしなくても、村人全員に避難してもらう事にもなるか
もしれない」
 ホークアイが真剣な目付きで村長に言うと、彼はまたも深いため息をついた。
「…そうですか…。…それで、この村に帰って来れるのですか…?」
「俺たちが倒して、後々モンスターも出ないようだったら、帰って来て良いだろ」
「ま、そうだな」
 デュランが頷く。
「隣町はどこですか? 避難したおりには、報告に行きます」
 リースが重ねていうと、村長は小さくうなずく。
「南に少し大きな町がありましてな。平和な時はよく行き来しておりました。なに、真っ
すぐ行けばいいので、迷いはしません」
「わかりました。では、みなさん、いつでも避難できるように準備しておいて下さい。こ
ちらも、準備が整い次第、北の山に行こうと思います」
「有り難うございます。…では、これは前払いです。少ないですけど…」
 リースの言葉に頭を下げると、村長は用意しておいた革袋を差し出すと、ホークアイは
中身も見ずに受け取った。重さで大体、額がわかる。小さい村だから、これだけ用意する
のは大変だっただろう。



「…大丈夫なの? デーモン相手にさ!」
 あてがわれた部屋に全員が集まると、アンジェラが最初に口をひらいた。
「やるしかないだろう。それに、今の俺たちなら勝てない相手じゃないはずだ」
「俺たちはともかく、村の近くにいるってのがな…」
 ホークアイは椅子ではなく、ベッドに腰掛けてため息をつく。
「けれど、いるのは北の山なんでしょう?」
「そりゃそうだけどよ。戦闘地域がそこだけで済めばの話だろ? あの背中の羽であっち
こっち移動されて村の方に行かれてみ。その北山って目と鼻の先みたいなもんだっちゅー
しよ」
「あ、そうです…よね…」
「ともかく、村人にはすぐにでも避難してもらうよう……」

 ドゴーンッ!
 突然、夜のしじまをやぶり、爆発音が聞こえた。
「まさか!?」
 窓に駆け寄り、窓を開け放つ。北の山のふもとあたりから、火の手があがっていた。
「なんてこった…!」
「みんな装備しろ! 急げ!」
 ホークアイが舌打ちしてる暇にも、デュランは急いで鎧を着込んでいた。

「ともかく、俺達がくい止める。ホークアイ、シャルロット! おまえらは村人に避難を
指示しろ!」
「わかった!」
「ひええ! シャルロットもでちか!」
 シャルロットの言葉が終わらないうちに、デュランは駆け出していた。それに続く三人。
「シャルロット! ともかく村人を避難させろ! 奴らならなんとかするだろ!」
「あうう、わ、わかったでち!」
 村は一瞬のうちに大パニックに陥った。
 北の方から次々と火の手があがる。暗闇を徘徊し、デーモンが村人を食い、家々に火を
放つ。
「みなしゃーん! 隣町に避難するでちよーっ! 南口に急ぐでちーっ!」
 シャルロットは恐怖に混乱する村人達に、あらん限りの声で叫び続けた。阿鼻叫喚のな
か、かすかに避難を呼びかけるホークアイの声も聞こえる。
 ちょうど、避難の用意として即席馬車がいくつか作られている最中で、村人達のほとん
どはそれに乗り込む。
 乗り込めるだけ乗り込むと、馬車は次々と発車していく。確かに、走っていくより早い
し、一度に多くの人々が運べる。
 北の方でデーモンの進撃が止まったようだ。なにやらピカピカ空が光っているところを
見ると、デュランたちがなんとかやっているようである。
「シャルロット! そっちはどうだ!?」
「みなしゃん、だいぶ避難したようでち!」
 北の方の火事で、夜でもホークアイの表情が確かめられる。火の粉がここまで飛んでく
る。
「そうか。残りがいないか確かめたら、俺たちも行くぞ!」
「はいでち!」
 こっくり頷くと、シャルロットは逃げ遅れた人がいないか確かめるために走りだした。
 村には人の気配が無くなっていた。どうやら生き残った者は避難したようである。
「うし、シャルロットも行くでち!」
 シャルロットはフレイルを握り締めて、北の方にいるデュラン達のところへ行こうとし
た矢先。
「ひっく、えっぐ、うっ、ひうえーん」
 幼い泣き声が聞こえ、足を止めた。
「ましゃか…」
 泣き声は納屋の方から聞こえる。このへんは北の戦場に近く、火の粉が随分飛んでくる
場所だ。下手すれば燃え移る可能性だってある。
 シャルロットは急いで納屋の戸を開ける。
「だれかいるんでちか!?」
 暗い納屋の中、小さな女の子がすみっこにうずくまって泣いているではないか。
「なっ…、なにやってるんでちか! 早く逃げるでちよ!」
 シャルロットは慌てて女の子に駆け寄る。小さなシャルロットよりも小さい女の子で、
まだまだ全然幼い。
「ままはどうしたんでちか? ぱぱは?」
「うっ、うえっ、ふえーん!」
 親の事を聞いてみるが、泣いてばかりでらちがあかない。どうも逃げ遅れたらしい。
「仕方ないでちね。一緒にくるでち!」
 シャルロットは女の子の手を引っ張って、無理やり立たせると、納屋を飛び出した。
 ドガーン! ガシャッ! ギャアオオッ!
 なにかが派手に壊される音と、怪物の咆哮が入り混じり聞こえる。あちらの戦線は激し
そうだ。
「…だ、大丈夫かな…」
 戦闘では足手まといになる事は多々だが、シャルロットの回復魔法は長期戦では重宝す
る。一応、デュランやケヴィンも回復魔法を使えるが、シャルロット程の腕ではない。
「うわあーん! うあああああーんっ!!!」
 戦いの空気に怖くなったか、女の子はさらに大声で泣き出した。
「だああ、もう、こっちでちよ!」
 まだ馬車が残っていると思う。シャルロットは女の子を引っ張って、南へと走りだす。
村の南口では、最後の馬車が残っていた。
「おおーい! それ待ってぇ! まだいるでちよー!」
「おい、まだ子供が残っているぞ!」
「なに!?」
 最後の馬車を出発させようとしていた男は慌てて馬車を止める。いかにも即席馬車らし
く、ほとんど荷台であった。
「早く! これで最後なんだ!」
「この子でち!」
 シャルロットは馬車まで駆け寄り、女の子の手をぐいと引っ張って見せる。
「さあ、乗って!」
 男は女の子を抱き上げ馬車にほうり込むと、今度はシャルロットも抱き上げてほうり込
んだ。
「え!? ちょ、ちょっと!?」
「乗ったぞ! 行こう」
「おう!」
 シャルロットを馬車に乗せた男は、御者台に二人で座り、馬にムチくれて走りだした。
「シャ、シャルロットは違うでちよーっ!」
 そう叫ぶが、必死な二人は気づかない。
 ガタガガガガガガッ!
 馬車はすごい勢いで道を走りだす。
「わわわわわわっ!」
「うええええーん!」
 ものすごい揺れにしがみつくしかなくて、シャルロットは女の子の手を握り、はいつく
ばった。馬車の中は彼女たちだけだった。
 燃える村がどんどん遠ざかっていく。それを確かめる余裕もなく、シャルロットはただ
ただ馬車にはいつくばっていた。
 どれくらい走ったか。
 ガタタンッ!
「うわあっ!」
「ひょえっ!」
 岩かなにかを踏んだのか、馬車が大きく撥ねた。その勢いに、シャルロットの手を離れ、
女の子は馬車の中でバウンドして、その拍子に外に転がり落ちてしまった。
「でええー!? ちょ………、あああ、もうっ!」
 シャルロットは歯を食いしばると、自分も闇夜の外へと飛び出した。


 ドスン、ゴロゴロゴロゴロッ!
 跳ね飛ばされた先は柔らかい草地で、二人で草地をごろごろと転がる。
「…う…、だ、だいじょぶでちか?」
 すぐに起き上がって、シャルロットは女の子の方を見る。ハーフエルフという血のせい
か、シャルロットは暗闇でも少しものが見えた。
 女の子の方は横たわったまま、泣いていた。
「大丈夫でちか?」
「……えう……ひっく……あう…」
 怖かったのか、女の子はずっとしゃくりあげるばかりで返事をしない。
「大丈夫なんでちか? 大丈夫なんでちね。答えないと、そうなりまちよ!」
 女の子の両肩をつかんで、シャルロットはがくがくゆらす。しかし、そんなことで泣き
止む女の子ではない。
「泣いてないで、なんとか言ったらどうでちか!」
「う…ふえ…うええええーん!」
 ちょっとイライラしてきて、少し強い口調で言ったら、今度は派手に泣き出されてしま
った。
「うー! もう知らないでち! ずっと泣いてると良いでち!」
 泣き止まない女の子に業を煮やし、シャルロットは立ち上がった。 プンプンと頬を膨
らませて、シャルロットは道に出るため、草地を上る。
 やっと道まで戻ってくると、もはや馬車など見当たらず、音さえもしなかった。
「…馬車は…もう行ってしまったでちか。……飛び出さないで、止めるよう頼むべきだっ
たでち…」
 そしたら、取り残される事もなかったのに。だが、あのときはただひたすら慌てていて、
正常に思考は働かなかった。それに、よくよく考えれば、あんな状況で叫んだところで、
あちらの耳に届くかどうか…。
「…はぁ…。ここは…どこなんでちかね…」
 隣町まで行くべきか。それとも、戻ってデュラン達と合流するべきか。シャルロットは
思い悩む。村の喧噪も、馬車の音も聞こえない。ただ、近くで虫の音がするだけだった。
今夜は月も新月で、ちっとも明るくない。
「…うええっく…ふえ、びえええーん」
 気が付くと、女の子が泣きながらこちらに上ってくる。
「なんでちか。あんたしゃん、まだ泣いてるでちか」
「うええええーん、ふえええーん」
「がきんちょは嫌いでち」
 しかし、女の子は泣きながらシャルロットの袖をつかむ。
「む。は、離すでちよ」
 シャルロットはぶんぶんと手をふって女の子の手を離そうとする。
「うわあああああん!」
 しかし、さらに泣き出してしまった。
「泣くんじゃないでち!」
 ついカッときたシャルロットが一喝すると、女の子はビックリして泣き止んだ。
「泣き止めるじゃないでちか。泣いてばかりいたってどうにもならんでち。どうにかしな
いといけないんでち」
「…………どうにか…?」
「…………」
 はたして、どうするべきか。シャルロットはそれも決めてなくて、腕を組んで考え込む。
 シャルロットは女の子を見た。この子の親はたぶん、南の町へ避難しているのであろう。
ならば送り届けるのがスジというものだ。しかし、町までの道にどれくらいかかるかわか
らないうえ、その道程をこんな小さな女の子を連れて行けるのであろうか?
「無理でち…。そんなの…」
 小さくつぶやくシャルロット。自分だって体力に自信はない。しかも、途中でモンスタ
ーに出くわしたなら、シャルロットだけならともかく、こんな小さな女の子がいては守り
きれる自信もない。
「はあー…」
 こんな時、仲間の誰かがいてくれたら、と痛切に思う。あまり頼りになりそうにないア
ンジェラでも、いるだけ良いと思った。
 もう一度、シャルロットはこの女の子を見た。涙目で、鼻水もふかず、ただじっとシャ
ルロットを見上げていた。
「ふうー…」
 さらにため息をつく。仕方がない。とにかく、村にいるであろうデュラン達と合流しよ
う。
「いいでちか? こりから、シャルロットは弟子たちと合流して、そいからあんたしゃん
をぱぱとままの所に送ったげるでち。でちから、村の方にちょっと戻るんでち」
「……ままに会えるの?」
「送ったげるでち。シャルロットににごんはないでち」
「………うん…」
「じゃあ、いいでちか? こりから、あんたはシャルロットのこぶんになるんでち。こぶ
んなんだから、おねえたまの言うことをよく聞くんでちよ?」
「…………うん…」
 女の子は小さく頷いた。
「さ、行くでちよ」
「うん…」
 シャルロットが村の方に歩きだしたので、女の子もそれに続く。そして、シャルロット
の手を握ってきた。一瞬、シャルロットは驚いて、女の子をしばらく見ていたが、自分も
女の子の手を握った。
「ところで、あんたしゃん、名前はなんてーんでちか?」
「…………しゃりゃ…」
 舌足らずな声で言う。
「…しゃりゃ? ……シャラでちか?」
「うん」
「そうでちか。じゃあ、シャラ。とりあえず、村まで歩くでち。シャルロットの弟子達に
会えば、みんなでシャラのぱぱままの所に送ってあげられまちからね」
「……うん」
 シャラは大人しく頷いた。
 幼いながらに、のっぴきならない状況だというのはなんとなく理解しているらしく、シ
ャラは幼児にしては頑張って歩いていた。
 しかし、幼児は幼児。体力だってたかがしれている。
「……どうしたんでちか? 歩かないんでちか?」
 急にしゃがみこんだシャラを、シャルロットはのぞきこむ。
「…もうありゅけない…」
「歩けないって…、歩かないと、村までつきましぇんよ!」
「…でも…ありゅけない…」
 シャルロットも困ってしまった。こんな道の真ん中で休むわけにもいかないし。ぱっぱ
と辺りを見回す。
「…じゃ、あそこのでっかい葉っぱのあるところで休もうでち。あの葉っぱの下なら、き
っとよつゆをふせげそうでち」
 シャルロットの指さす先には、子供ならじゅうぶんに下に入れるほどの大きな葉が、た
くさん生い茂っている。もっとも、シャラにはよく見えないのであるが。
「…ありゅけない…」
「歩くんでち。あとちょっとでち」
 そう言って、シャルロットはシャラをひきずるように葉っぱの下へと連れていく。この
植物、ハーブの一種なのか、すこし香りがキツい。
「ここなら、きっとどろぼーやもんすたーにも見つからないでち」
 ちょうどいい大きさの葉っぱの下で、シャルロットはちょっと息をつく。シャラは早く
もへたりこんだ。
「…シャルロットもこんなに若いながらも、くろーしてぼーけんしてるんでち。シャラも、
ちっちゃいからって、へたばっちゃだめなんでち」
「……うん…」
「…けど、シャルロットもちょびっとちかれまちた。…村には明日に行こうでち」
 たとえ、今夜中にあのデーモンを倒したにしても、デュラン達は一晩休んでから町へ向
かうだろうと思う。その途中で会えれば良いけれど。
 そんな事を考えながら、シャルロットもへたりこむ。葉っぱの太い茎に背をもたれると、
シャラがぎゅっとくっついてきた。
「寒いでちか?」
「うん」
「じゃ、くっつこうでち。くっつくとあったかいんでち」
 二人はさらにくっつきあう。少し暖かくなってきて、シャルロットもうとうとしてきた。
シャラはもう眠ってしまったようだ。
 新月と星明かりが下界を暗く照らしていた。




                                                             to be continued...