「いいでちか?  パーティーでちから、うつくしく、なおかつかっちょよくどれすあっぷしなき
ゃならんでち。わかりまちね?」
「まぁ…。わからんこともないけど…」
「そして、忘れちゃいけないのが、マナーや、歩き方、仕草とかでち。いくら、かっちょよくて
も、ガニマタで歩いてたり、猫背だったりしちゃゲンメツでち」
「そりゃなあ」
  2人はうなずきまちた。まあ、ジョーシキでちもんね。
「背筋については、お2人とも問題ないでち…。でも、デュランしゃん!」
「な、なんだよ…」
  シャルロットがピッと鼻をつきつけると、デュランしゃん、たじろぎまちた。
「あんたしゃん、不機嫌だと肩怒らせて、ガニマタで歩くクセあるでち。あれ、やめるでち」
「な、なに…。そ、そーなのか?」
  自覚してなかったんでちか。ダメでちねー。でも、だからクセって言うんでち。シャルロット
は物知りでち。
「そーでち。アンジェラしゃんがいるとすーぐケンカするらしくて、すーぐその歩き方になるで
ち。あれはダメでち。あんなんじゃ、女の子、逃げちゃいまち!」
  実際、近づく女の子なんて、ほとんどいなかったでち。
「そーそー。物腰は柔らかに、ね」
「ホークアイしゃんは柔らかすぎのくにゃくにゃでち。ナンパすぎて、女の子は逆にけーかいし
ちまいまちよ!」
「な、なにぃっ!?」
  ホークアイしゃんときたら、こんなこと言われたのが心外らしくて、すげー驚いてまち。女の
子の事は、女の子がいちばんよくわかるんでち。
「それじゃあ、長いつきあいなんかできまちぇんよ」
「ああ、なんだ。別に俺、長いつきあいなんか良いよ。面倒だから。短くて、軽いつきあいが良
いの」
  ホークアイしゃんらしいでち…。
「と、とにかく、ホークアイしゃんは、もすこし軽いのをおさえればオッケーでち。デュランし
ゃんは、フキゲンなのを表にださないよーにするでち」
「表に出さない、ねぇ…」
「ま、それは言えるな。確かに」
  これにはホークアイしゃんもうなずいてくれまちた。
「そーでち。それは大人気ないんでち」
「………………なんか、おまえにだけは言われたくないんだけど…」
「なんでちってーっ!?」
「ああ、ほれほれ。怒らない、怒らない!」
  ぐみみっ!  むふぅー…。しゃ、しゃあないでち。シャルロットはもう子供じゃないんでちか
ら、怒っちゃいけないでちね…。


  お次ぎはっ、テーブルマナーでち!
「ケヴィンしゃんのよーに、なりふりかまわずがつがつ食べないこと!  これが第一でち!」
「…………………」
  お2人はまた顔を見合わせまちた(よく顔を見合わせまちね、この2人は)。
「そりゃあ、場所によりけり、だろ。食堂とか、飯屋じゃ俺ら、別に周りを気にしないで食うけ
ど、そういう場所でばかばか食う事はしねえよ」
「そうそう」
「…そーでちか?」
「ケヴィンは別格だって。いくらなんでも、状況把握くらいできるって」
  う〜ん…。確かに、ケヴィンしゃんは、その、じょーきょーはあくというのがダメなんでちよ
ね…。どしりあすな展開の時にでっかいクシャミしちまうんでちから、あの人は…。
  じゃあ、この問題はクリア〜としまちか。ちょっと、デュランしゃんあたりが心配なんでちが、
たぶん、大丈夫でちょう!
「ああ、あと、パーティーの時にはシャルロットの事をシャルロット様と呼ぶでち」
「なんで!?」
  2人とも声をそろえて言いまちた。…んもー…。
「……あれはお気に入りだったと、リースしゃんが…」
「わあああぁっ!  はいはいはいはいっ!  シャルロット様々!」
  ホークアイしゃんはすぐさま言う気になりまちた。
「おいおい、ホークアイ…」
「デュランしゃん、5722ルクは…」
「わかったよっ!  パーティーの時だけで良いんだろっ!?」
「そーでち♪  パーティーの時だけでOKでち」
  内部教育はここらへんで良かでちかね?


  そして、もっともじゅーよーである、身なりでち!
「デュランしゃん、いくら騎士様だからって、ヨロイカブトでパーティーでるのはさいあくなん
でち」
「べ、べつに、武装してパーティー出ようなんざ思っちゃいねえよ」
  でも、デュランしゃんならやりかねんでち。ここは、シャルロットがビシバシと指導してやる
んでち。
  で、シャルロットたちがおとずれたのはこのブティックでち。ウェンデルでもおしゃれだと、
有名なトコなんでち。
「へー…。いろんな服があるんだなぁ…」
  ファッションにうとそーな(実際うといんでち)、デュランしゃんはものめずらしげに店内を
見回してんでち。
「いいでちか?  ここはかっちょええ服を着て、びしぃっばしぃっと、キメるんでち!」
  シャルロットはぎゃっぎゅっと、身振り手振りでその重要さをあぴーるしまちた。
「そ、そうか…」
  なに戸惑ってるんでちか、デュランしゃんは。
「え、えーと、はぅすばりかんしゃん、服選び、手伝って下さいでち」
「それを言うなら、ハウスマヌカンだろ?」
  うっ!  ホークアイしゃんの冷たい声がシャルロットの胸をつらぬきまち!
  …で、でもっ、シャルロットは負けないっ!  とにかく、似合いそーな服を選んで、2人に着
せてみることにしまちた。
「しゃあしゃあ、ホークアイしゃんもこれ着てみるでち。そのヘンなタイツ早く脱ぐでちよ」
「ヘンなタイツってゆーなっ!」
  気にしてんでちかね…?
  ちなみに、シャルロットのドレスはもう決まってまちから、良いんでち。
「着てみたでちかー?」
「なんか、かたっくるしいなぁ…」
  なーに、ボヤいてんでちか。試着室から出てきたデュランしゃん、ちと着こなしが下手でち。
なんでちか、そのだらしない襟元は。
「失礼、ここをこうして…」
  店員しゃんがうまく直してくれまちた。シャルロットじゃ、デュランしゃんの襟元までじぇん
じぇん届かないもんでちから…。
  おぉう、こーして見まちと、デュランしゃんもええ男でち。あの粗野っぽい感じが消えたのが
ぐっどでち。人間って服装だけで、こんなにも変わっちまうんでちねぇ…。
「やっぱ、キツぃよぉ、これ…」
  あぁあ!  ネクタイゆるめちゃダメでちよぉ!
「だぁーめだぁめ!  ネクタイゆるめちゃダメでちよぉ!」
「だって、なんか、苦しい感じがするぜ」
「それじゃくたびれた感じになっちまいまち!  ビシシッとしてないでち!」
「そう言われても…」
  まぁ、慣れてないんでちょーけど、あの日だけは、ガマンしてほしいでち。
「とにかく、パーティーの時だけでも、ガマンしてくださいまち。いっつも、そんなの着ろとは
言わないでちから」
「ヤだぞ、こんなの毎日着てたら…」
  デュランしゃんたら、スゲく窮屈そうな、ひきつった顔しまちた。
「そーゆー顔しないでち。顔を引き締めるでち。引き締めた中にも笑顔をひめた顔するでち」
「…そんな難しい注文つけないでくれ…」
  難しいでちかぁ…?
  仕方ないでちね…。デュランしゃんがこーゆーかっこつけが苦手なのは、シャルロット賢いで
ちから、わかるでち。
  うーん…。デュランしゃんはこんなもんでちかね…?  店員しゃんとシャルロットのおかげで、
かーなりかっちょよくなりまちた。これなら、何も知らない女の子は振り向くこと請け合いでち。
「こんなもんでどーだー?」
  シャッとカーテン開けて、試着室から、ホークアイしゃんが出てきまちた。
「およよよよー…」
「へー…。おまえ、そーゆーのうまいなぁ…」
「まーかせろよ!」
  さーすがホークアイしゃんでち。着こなしも着崩し方もうまいでち。これはシャルロットの指
導はいらんみたいでち。
「…でも、そのバラどーしたんでち?」
  ホークアイしゃんたら、右手で紅いバラをもてあそんでまち。
「ああ、これね。も・らっ・た・の!」
  ……確か、ここのお向かいにお花屋しゃんがありまちた。……ましゃか……。
「…ましゃか、盗んだとか言いまちぇんよね?」
「まさか。そこの売り子さんが可愛いんでね、ちょっとおしゃべりしたらくれたのさ」
  い、いつのまにっ…!  こりゃもー、なんぱがクセになってんじゃないでちか?
「久しぶりにバラの舞でもかまそっかなー」
  そうやって、バラくわえてくるくる舞うのやめてくださいでち。
「やめろよ…」
  まったくでち。


  これで準備万端でち。2人を風呂に突っ込ませて清潔にさせまち。
  シャルロットも、きよく美しくしまち。せっけんたぁっぷり、ごしごしこすってあわあわしゅ
わわ。
  今日の夕方からパーティーでち。いよいよなんでち。
  シャルロットがおけしょーしてると、男たちの部屋がやかましいんでち。
「うっわー、なんだこれ!?」
「コロンだよ、コロン」
「なに!?  こんなもんつけんのか!?」
「あ!  なあなあ、見ろよ。こんなヅラなんかあるぜ!」
「ぶっはははっ!  おめー、そりゃいくらなんでもヘンだって!」
  あ、あそんでまちね〜、アイツらはぁ〜…。
「い〜かげんにしなしゃぁいっ!  あそんでるんじゃないでちよっ!」
  ドアを思いきりバァンッと開けて、シャルロットは怒鳴り込みまちた。
  2人ともよほど驚いたらしくって、ひきつった顔してこーちょくしてまち。
「シャ…、シャルロット…」
  2人ともなんでちか、その顔は。
「お、おまえ…け、化粧までしてんのか…」
「そーでちよ。それがなにか?」
「……や、やめとけっ!  それはやめとけっ!」
「そ、そーだそーだっ!  その化粧はバケモンみたいだぞっ!」
  な、なんでちって!?
「あわわ、デュランバカ!  と、ともかく、そのまっかっかの口紅と、厚すぎる白粉と頬紅はや
めろ!」
「……そうでちか…?」
  やっぱり、ちょっとあつげしょーでちたかね…。
「そ、そうそう!」
  デュランしゃんはかくかくとうなずくだけ。
「そ、そうだな…。おまえはあまり白粉も頬紅もはたかなくて良いぞ。気持ち分でOKだろ。リ
ップも淡いピンク系のヤツが良いと思うぞ。アイシャドーはいらねーだろう」
  なぁんと。ホークアイしゃんから、おけしょーのアドバイスされちまいまちた。
「おまえ、よくそんなのわかるな…」
「ん?  いやまぁね…」
  どーでもいいけど、そのカツラ早く取って欲しいでち。


  いよいよ、パーティー会場でち。どきどきしまち。
  一応、この2人の男を連れて、神殿をちょこっと歩き回ってみたんでちが…。とりあえず、成
功と言っておいてオッケーでち。
  ……さあ、このドアを開けまち。
  ちょっと背伸びをして、ギュッとドアノブを握り締めて。シャルロットはゆっくりとドアを開
けまちた。
  明るいシャンデリアが照らしまくるでち。人がたくさんいるでち。この中を、シャルロット先
頭にして、デュランしゃんとホークアイしゃん連れて、さっそうと歩くんでち!
  まさに、まさにまさに!  注目の的でちた!  シャルロットの美しさに加え、後ろの男2人の
引き立てがすごくうまくいったんでち。
「あらぁ、フランソワ。ごきげんようでち!」
  こりが最大の目的!  しゃあ!  なんとか言ってみるでちフランソワ!
「うくっ、く…。ご、ごきげんよう」
  シャルロットの後ろの男2人と、フランソワの後ろの男2人。一目瞭然でち。
「フランソワのおかげでち。シャルロットはちゃあんと男たちを見つけてきたでち」
  えっへん。えっへんえっへん!  胸をはりまくって、おーいばりでち!
  フランソワは赤い顔してまち。歯を食いしばってまち。血管浮いてるでち。
「ほ、ほほ…。な、なかなかの人達ですこと…」
「そーでち。デュランしゃん、シャルロットをそこの椅子に乗せるでち」
「自分で…」
「5722ルク」
  ここはボソッと言うのがコツなんでち。
「さ、どうぞ。シャルロット様」
  デュランしゃんはそこの椅子に、シャルロットを抱き上げて乗せてくれまちた。
「ホークアイしゃん、そこのグラスにジュースをつぐでち」
  本当はワイン用のグラスでちが、シャルロット、お酒はダメなんでち。
「かしこまりました。シャルロット様」
  ホークアイしゃんはちゃんとわかってるらしく、態度も恭しく、グラスを持たせてくれ、ジュ
ースをつぎまちた。
  中のジュースをきゅーっと飲み干し、フランソワを見る!  ふふふ…。どーでち!?
「くっ…。ジョージ!  わたくしを椅子に乗せなさい!  マイケル!  ジュースをお注ぎ!」
  フランソワはシャルロットを同じ事をさせまちた。そして…
「ジョージ。わたくし、カタクルミが食べたくなりましたわ」
「はい、フランソワ様。少々のお待ちを…」
  って言って、彼は無造作に積み上げられているカタクルミを一つ、つかみまちた。あのクルミ、
美味しいんだけど、殻が固すぎて、食べるのに一苦労なヤツなんでち。
  それから、彼が額にスジ浮かべクルミを握り続けること十数秒。やがて、パリンという音がし
て、中身がフランソワに手渡されまちた。…ふ…。
「…デュランしゃん。シャルロット、カタクルミが6つくらい食べたくなったでち」
「……はい、シャルロット様。少々のお待ちを…」
  さっきの彼と比べるのはちと可哀想でちかね。バチガチと10秒もかからずに、6つ分のクル
ミの中身がシャルロットの手にきまちた。あっちは息がちとあがってまちけど、デュランしゃん
はへーぜんとした顔してまち!
  ひょひょひょ。シャルロットはおいしークルミを食べながら、またフランソワを見てやるでち!
「むぐっ…。マ、マイケル!  あれを見せておあげなさいっ!」
「はい、フランソワ様…」
  って、言うが早いか彼は右手からポンッと一輪の白いバラを出しまちた。
  手品でち!  それを見ていた人々が歓声をあげて拍手をしまちた。
  彼はそれに応えて、軽く会釈をしてるでち。
「……ホークアイしゃん…」
  シャルロットがピチッと指を鳴らすと、ホークアイしゃんはすぐにわかってくれまちた。
  ホークアイしゃんはさっきの彼と同じように右手からポンッと赤いバラを出しまちた。それか
らすぐ、あれよあれよと言う間に赤いバラを何本か出したんでち。
  さっきよりも大きな拍手が起こりまちた。
  それに、ホークアイしゃんがニコッと応えてから、バラをちょっと揺らすと、
  シパンッ!
  バラが小さく爆発して、キラキラと光りながら飛び散ったんでち。すっごくキレイだったんで
ちよ。
  みなしゃんはずっと大きな歓声と拍手をくれまちた。
  ふっ…。
  もう、勝敗はミエミエでちた。フランソワの歯軋りはこっちまで聞こえてきそうでちた。
「……わ、わたくし、失礼いたしますわっ!」
  そう言って、フランソワは椅子を降りて、くるりと背中を向けてどこかに行ってしまいまちた。
  ……か、勝ったでちっ!
  シャルロット、フランソワに勝ったでち!
  もう、この時ほど胸がスーッ!  スカーッ!  とした事はないんでち!
  あーもー、シャルロットの努力が実ったんでち。ちょーうれしーんでちー。
「ふ、ふひ、ふははははは…」
  ほっぺがゆるんじゃいまち。デュランしゃんたちのけげんな視線も気になんないんでち。
「…さんきゅーでち。お2人しゃんとも!」
  シャルロットが小声でそう言うと、2人は顔を見合わせたんでち。


  パーティーもたけなわになってきた時でちた。
  ガッシャーンッッ!
  やかましい音を立てて、ガラスが割れたでち。そして、覆面をかぶった黒ずくめのスゲー怪し
いヤツらが手に手に武器を持って乗り込んで来たんでち!
「キャアアアアァァッッ!」
  ここで悲鳴はとーぜんでち。シャルロットはあげないでちけど。
「動くな!  おとなしく手をあげろ!」
  ボスらしき男がそう怒鳴ったでち。
「バカでちねー」
「なにがだよ?」
  ホークアイしゃんは、ジャケットを脱ぎながら聞いてきまちた。
「アイツらでちよ。このシャルロットたちがいるんでち。ましゃに自殺行為でちよ」
「なるほど」
  デュランしゃんもゆっくりジャケットを脱ぎまちた。
「そらよっ!  これでもくらいなっ!」
  いきなし、ホークアイしゃんが強盗たちに向かって何かを投げ付けたとたん。ボフッとすごい
量の煙が出まちた。このスキにフツーの人々を非難させるんでち。
  騒ぎを聞き付けた神官たちもその対処にあたるんでち。
「ミック、ミック!」
  子分のミックはちょっとしてから、シャルロットの所に来まちた。
「シャルロットの武器を持ってきなしゃあい」
「はいはい…」
  しゃぁて、ここはシャルロットの腕前を見せてやるでち。
  怪しいヤツらは強盗だったでち。普通の人々は非難させまちた。
  もー、きゃーきゃーわーわーおーさわぎたっだんでち。
「うう、シャルロット、早く戦いたいでち!」
「おいおい!  先に一般人を非難させろって!」
  ホークアイしゃんは、なんだかんだ言って真面目でち。
「はい、シャルロットさん!」
  やっと、ミックがやってきまちた、がー…。
「な、なんでちかこりは!?  シャルロットは武器って言ったんでちよ!」
「ええ、ですから、武器…」
「こりははりせんってゆーでちよ。武器とゆったらジャジメンテスでち!」
「ああ、あれですか…。でも、あれは強すぎて危険だって、司祭様が…」
  む、むむぅ…。た、たしかにあれはゲロつよでち…。しょ、しょーがないでちね。あいつらご
ときなら、これでじゅーぶんでちかね…。
  一般人がだいぶ非難したと思われた時でちた。だいぶ煙も無くなってきまちた。
「動くなっ!  このガキの命がどーなっても良いのかっ!?」
「きゃああぁっ!  いやぁぁっ!」
  げぎょっ!  フランソワのヤツ、なにちんたらしてたんでちか!  人質になんか取られちゃっ
て…!
  人質をとられてはかなわない。神官たちの動きがピタりと止まっちゃったでち。
「おいおい…。人質なんかとりやがったぜ…」
「どーする…?」
  シャルロットの後ろにデュランしゃんとホークアイしゃんがいまちた。
「2人とも、聞くでち。良いでちか?  シャルロットがあいつらの気を引きまちから。そのスキ
にあのフランソワを助けだして欲しいでち」
「OK。じゃあ、デュランは右から、俺は左から行く…」
「わかった」
  後ろで、2人が動きだしまちた。さあ、やるでちよ!
「やいやいやいやいっ!  そぉこのブ男ぉっ!」
  はりせんをびしぃっとつきつけて、ありったけの声で怒鳴りつけてやるでち!
「な、なにっ!?」
  ふふふふ。こっちを向いたでち。
「あーら、ブ男なんて呼ばれてこっち見まちたね!  自分で自覚してるんでちか!」
「な、なんだとっ!?」
「ほーほほほ!  このシャルロットの美しさを少しでも見てみたいと、このパーティーに乗り込
んだこんじょーは認めてあげるでち!  しっかぁし!  こぉんならんぼーはダメでち!  どぅー
ゆーあんだすたん?」
「…な……」
  盗賊は、このシャルロットの鈴のような声に聞き惚れたか、こっち見たまま動きまちぇん。
「確かにっ、このシャルロットの美しさは罪かもしれないでち。ああ!  なんて罪深き美しき少
女!  悲劇のヒロイン!  ううっ、思わず涙ぐんでしまうでちっ!  だけど、泣いてはいられな
いでちっ!  頑張れシャルロット!  負けるなシャルロットぉ!」
  シャルロットの熱の入った声に、みんな聞き惚れてしまったらしく、みんなみんなそこに立ち
尽くしていまちた。
  チラッと見たら、ホークアイしゃんもデュランしゃんも準備が整ったようでち。
「しゃて、シャルロットのびぼーを拝めるのはここまででち。あんたしゃんたちのよーな、ろー
ぜきものには、シャルロットの必殺技が火をふくでちよっ!」
  スッコーンッ!
  最後の言葉が終わるか終わらない時に、ホークアイしゃんの投げたスパナが(どこに持ってた
んでちかね?)見事、盗賊の頭に直撃しまちた。
  そしてっ、デュランしゃんは猛ダッシュで油断した盗賊の腕から、フランソワを助けだしまち
たっ!  なーいすこんびねーしょんっ!
  みんなそこに注目してまち。シャルロットもだっしゅでち!
「ひっさぁつ!  はりせんちょぉっぷ!」
  ビバシイッ!
  シャルロットの必殺技が、前にいたボスらしき男に炸裂しまちた!  う〜ん、いい音でち。
  それをキッカケに、強盗たちとの乱闘が始まったんでち。こっちは三人しかいないでちけど、
その戦力はどんなバケモノもやっつけてしまう程なんでち!
  どうなったかって?  もぉちろん、盗賊たちは全員逮捕でち。パーティーで金目のものを、な
んて考えるヤツがおバカなんでち。
  ふぅ、それにちても、良い汗かきまちた。
  もう、パーティーはおひらきでち。最後はちとうやむやになっちまいまちたけど、ケガ人は一
人もいなかったんでちから、善しとするでち。
「しっかし、こんな格好で乱闘するとは思わなかったぜ…」
  デュランしゃんがジャケットを羽織りなおしながら言いまちた。それにしても、デュランしゃ
んって、こーゆー戦ってる時の方がいきいきしてまちね。やっぱ、戦士なんでちかねぇ…。
「まったくだ。ったく、なんだってこーゆートコ狙うんだか…」
  そーでちね。シャルロットもうんうんうなずくでちよ。


  なんか、運動して暑くなったんで、風に当たろうって事になりまちた。で、神殿の屋上に行く
事にしたんでち。
  屋上から、みんなで月を眺めまちた。すごぉくきれーなきれーなお月しゃまでちた。ケヴィン
しゃんなんかが、シッポふって喜びそうなくらい、きれいだったんでち。
  ああー…。それにしても、今日はとってもスッキリする事ばかりでちた。
  これも、シャルロットのたのもしー、しもべたちのおかげでちね。
「あ、あのなぁ、シャルロット…。その、おまえへの借金とかは返せそうなんだが、あの弁償は、
ちょっと…」
  気にしてたのか、言いにくそうに、デュランしゃんが頭かきかきして言いまちた。
「あれ、派手にぶっ壊したもんなぁ、おまえ」
「あ、あれは、その、不可抗力と言うか、なんというか…」
「…わかってまち」
「え?」
  2人の声がハモりまちた。
「あの噴水、実はもう古くなってて、建て直そうってゆー話があったんでち。神像は、今日の事
で水に流してあげまち。チャラにしてあげまちよ」
  そう言ってあげまちと、デュランしゃん、顔をかがやかせまちた。
「は、ははっ!  わーりぃなあ、シャルロット!」
「あの、それとな、シャルロットあのことは…」
  今度はホークアイしゃんがなんか言ってきまちた。
「ああ、別に良いでちよ。だまっといてあげまち。お2人しゃんとも、今日はよくやってくれた
でち。でちから、今度はシャルロットの番でち。お礼にその服、あげるでち。お2人しゃんとも、
すごく似合ってまちよ」
「え?  良いのか?」
「いいでち。シャルロット、ふところはデカいんでち」
  って、シャルロットは大きく胸をはりまちた。ウソはつきましぇん。でも、デュランしゃんは
あんまし嬉しくなさそうでちた。
「…デュランしゃん、ホークアイしゃん。今日はとっても楽しかったでち。また今度。みんなで
集まって遊ぼうでち!」
  2人は、やっぱり顔を見合わせまちた。それから、とびきりの笑顔を見せてくれたでち!
                                                                                END

            1997.8.15 FRIDAY  charlotte-to-yukaina-nakamatachi